研究概要 |
Re基合金を拡散バリヤとする新規なボンドコート層の成膜プロセス(電気めっきと熱処理)を開発し、Re-Cr-Ni系シグマ(σ)相を均一な厚さで試験片の全面(角、スルホールの内面を含む)に亘って均一(5〜10μm)に成膜するプロセスを開発した。Ni基超合金(TMS-82+,CMSX-4)に(Re-Cr-Ni)/(β+γ'系Ni-Al)の拡散バリヤ型ボンドコートを形成し、1150℃、大気中で耐酸化性について調査した。その結果は以下のように要約される。 @溶融塩からの電気メッキにより、Alをコーティングすることに成功した。本法では、メッキと同時にAl合金層を形成することが出来、従来の真空処理は不要であるという特長を有する。 @600時間の酸化後も、拡散バリヤ相は健全に維持される。さらに、Re-Cr-NiへのW,Mo添加を試みており、予備試験の段階であるが、拡散バリヤ特性の向上を示唆する結果が得られており、現在、その詳細なプロセスと機構について研究を継続進めている。 @保護的アルミナスケールを長時間に亘って維持するため、密着性を向上させる元素の探索を行っており、Zr添加の効果を確認している。現在、最適濃度とその添加方法について研究開発を進めている。 @保護的アルミナスケールを形成・維持、再生を解明するための基礎となる、1150℃におけるNi-Cr-Al系およびNi-Cr-Re系の実験状態図を作成し、計算機シミュレーションによる計算状態図と比較した。 @Ni基超合金に拡散バリヤ型ボンドコートを形成した後、約900℃で3点曲げ応力下でのクリープ試験を実施した。その結果、実用的な歪み範囲(数%以下)では、Re-Cr-Ni層に割れ、亀裂等は観察されない @Re-Cr-Ni系拡散バリヤ層は、Alの合金側への拡散を抑制するとともに、合金元素の外方への拡散を効果的に抑制することが明らかとなった。これは、保護的アルミナスケールの密着性の改善に顕著な効果が期待されることからその詳細な機構の解明を進めている。 @コーティングした超合金が高温で変形する際、基材とコーティングの相互作用をその場観察する装置を試作し、応力下におけるクラック進展の観察に成功した。
|