研究課題
原子炉反ニュートリノを使ったニュートリノ振動パラメータの精密測定、地球反ニュートリノ観測の統計精度向上、太陽ニュートリノ観測のための液体シンチレータの純化を行った。反ニュートリノ観測においては、解析手法の改善により有効体積の拡大を図り、地球反ニュートリノとシームレスな統合解析を雑持したまま原子炉反ニュートリノのエネルギー領域において有効半径を5.5mがら6mへ拡大することに成功した。また、主要な系統誤差であった有効体積の決定やエネルギースケールの位置依存性を全位置較正装置の導入により大幅に縮小した。さらに、主要バックグラウンドであるPo210からのα線とC13が反応することで生成される中性子に対しては、反応断面積の不定性による評価誤差を縮小するためにPoC線源を作成し、励起状態および基底状態への反応断面積をカムランド内で直接同時測定することに成功した。さらに、高速中性子に対する液体シンチレータのレスポンスを調べるため、大強度中性子源を使ったクエンチング測定を行った。これらの改善により、統計精度、系統誤差、バックグラウンドの評価誤差が大きく改善し、ニュートリノ振動パラメータの質量2乗差を2.7%の高精度で決定することに成功した。また、ニュートリノが減少・復元を繰り返すニュートリノ振動の直接証拠を2サイクルにわたって観測することに成功した。同時に、地球反ニュートリノフラックスの観測精度を37%にまで改善し、2.8σの有意さと共に地球モデルと整合する観測結果を得た。太陽ニュートリノ観測に向けた液体シンチレータの純化では、放射性不純物を約100分の1に低減することに成功した。実験装置内での対流による純化効率の低下を防ぐための温度制御装置、および純化性能を高めるための蒸留装置の改良を施し、さらなる純化への準備を完了した。
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Earth and Planetary Science Letters 258
ページ: 147-159
Nucl. Phys. Proc. Suppl. 168
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