研究課題/領域番号 |
16002008
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
中沢 正隆 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (80333889)
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研究分担者 |
廣岡 俊彦 東北大学, 電気通信研究所, 助手 (40344733)
吉田 真人 東北大学, 電気通信研究所, 助手 (10333890)
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キーワード | 高速光伝送 / 時間領域光フーリエ変換 / 光位相変調 / フーリエ変換限界パルス / 波形歪み除去 / 適応等化 / 光時分割多重 / 超短光パルス |
研究概要 |
本年度は無歪み光パルス伝送技術の基本性能を実証するために、時間領域光フーリエ変換を160Gbit/s光時分割多重(OTDM)伝送に適用し、超短パルス信号の伝送品質の改善効果を詳細に測定した。まず、高速(40GHz)で動作する光位相変調器と群速度分散をもつ短尺な光ファイバを組み合わせて、時間領域光フーリエ変換回路を実現した。次に、伝送ファイバの二次分散および三次分散の大きさを時間的に変化させながら、光フーリエ変換回路により波形歪みを除去し、120km伝送後10Gbit/sに多重分離された信号の符号誤り率を測定した。光フーリエ変換を用いない場合には二次分散、三次分散の増加に伴い誤り率が著しく劣化したが、光フーリエ変換を用いた場合はエラーフロアやパワーペナルティが完全に抑制され、伝送前とほぼ等しい誤り率を実現することができた。以上の結果、本手法により二次分散(<1.7ps/nm)および三次分散(<1.7ps/nm^2)の時間変動を同時に除去(適応等化)することに初めて成功した。 また、フーリエ限界光パルス発生技術に関し、40GHzモード同期ファイバレーザの発振特性の詳細な測定と解析を行なった。その結果、レーザ共振器長を50mまで短くすることによりスーパーモード雑音を抑制し、パルス幅1.5psのフーリエ限界パルスを安定に発生させることに成功した。また、わずかな温度変化に伴うモードホップにより発振周波数の変動が生じることを明らかにした。 さらに本年度は、波形歪み除去効果をさらに向上させるために、理想的なパラボラの形状を有する光パルスと信号光の相互位相変調を用いる時間領域光フーリエ変換法を新たに提案した。これによってより幅広い時間領域にわたって波形歪みの除去が可能であることを計算機解析により明らかにした。この成果は次年度以降における本伝送技術のさらなる高性能化につながるものである。
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