研究概要 |
本年度は、隣接する光パルスの位相差に情報を乗せるDPSK方式に時間領域光フーリエ変換法(OFT)を適用することにより、160Gbit/s-1,000kmの長距離伝送に成功した。この伝送距離は直線路における160Gbit/s伝送実験としては世界最長の伝送距離を実現したものである。OFTにより1,000km伝送後のペナルティ(誤り率10^<-9>を達成するために伝送前と比べて余分に必要な受光電力)は4dBに抑えられている。これは伝送路中に挿入した光増幅器による雑音限界にほぼ一致していることから、OFTは伝送路における波形歪み除去た大変有効であることが判る。なお、このOFT技術は伝送速度を高速化する程有効な方法であることが判ってきたため、現在320Gbit/sへの応用を開始している。 またこれと並行して、伝送後の波形歪みの除去性能を向上させるために、パラボラ形状の光パルスと信号光との相互位相変調による理想的な光フーリエ変換を提案・実証した。まず、アレイ導波路回折格子を用いた波形整形回路を設計・試作し、ピコ秒パルス光源からパラボラ光パルスを発生させることに成功した。さらに、このパラボラパルスを用いて、分散スロープによって歪みを受けた信号光パルスに全光フーリエ変換を施した結果、従来の正弦波変調の光フーリエ変換法では取りきれなかった波形歪みを除去することに成功した。
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