研究課題/領域番号 |
16002010
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山本 正幸 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (40114706)
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研究分担者 |
山下 朗 東京大学, 遺伝子実験施設, 助教 (30312276)
佐藤 政充 東京大学, 大学院理学系・研究科, 助教 (50447356)
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キーワード | 減数分裂 / 分裂酵母 / TORキナーゼ / 遺伝子発現 / TOR複合体 / 細胞増殖 |
研究概要 |
減数分裂開始のシグナルとなる栄養源飢餓の認識において重要な働きをもつと推定されるTORキナーゼについて解析を進めた。分裂酵母に2種類存在するTORキナーゼのうち、Tor1pについては、経路の下流でGad8キナーゼを介して有性生殖に必須の役割を果たすことを先に示した。いっぽう、生育に必須と記載されていた第二のTORキナーゼTor2pにつき、温度感受性変異株を作製したところ、それらは制限温度で栄養条件を無視して有性生殖に入る表現型を示すことが判明した。今回マイクロアレイ解析によってTor2pに発現が支配されている遺伝子を網羅的に解析したところ、Tor2pの活性が低下すると細胞はちょうど窒素源飢餓に遭遇したのと同じような遺伝子発現プロファイルを示すことが明らかとなった。すなわち、アミノ酸の取り込みに働く遺伝子や、有性生殖の開始に必要とされる遺伝子の発現が広範に誘導された。さらに、分裂酵母におけるTOR複合体構成因子の同定を進めて、複合体1(TORC1)と複合体2(TORC2)のサブユニット構成を解明した。TORC1には、Tor2pに加えてraptorホモログMip1pやWat1pが含まれ、TORC2には、Tor1pに加えてrictorホモログSte20pやWat1pが含まれていた。分裂酵母TORC1は細胞の増殖を促進する方向に働く点で動物細胞や出芽酵母のTORC1と近い機能を果たすと考えられたが、分裂酵母TORC2は細胞内のアクチンの編成を制御する働きをもつようには見えず、他生物のTORC2とは果たす機能が異なるように思われた。
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