研究課題
分裂酵母では減数分裂特異的なmRNA群が栄養増殖期に積極的に細胞内から除去される現象が存在し、Mmilタンパク質がこの選択的除去に中心的な役割を果たすことを先に示した。MmilによるmRNAの選択的除去機構の解析を進めた結果、エキソソームと呼ばれるリボヌクレアーゼ複合体のmRNA分解への関与が明らかとなった。エキソソームのサブユニットであるRrp6やDis3の変異体では、栄養増殖期においても減数分裂特異的mRNA群の蓄積が確認された。また、Mmilと相互作用する因子を酵母ツーハイブリッドスクリーニングで探索した結果、mRNAのポリA付加複合体の構成因子が複数単離された。それらのうちPlalやRna15について変異体を作製したところ、エキソソームの変異体の場合と同様に、Mmilにより除去されるはずのmRNAの発現上昇がみられた。また、エキソソーム変異体で蓄積するmRNAでは、3'端のポリA鎖が通常よりも伸長していることが観察され、この異常なポリA付加はポリA付加酵素であるPlalに依存していることがわかった。MmilによるmRNA排除機構におけるポリA鎖の重要性をさらに検討するため、Mmilの標的RNAの転写のターミネーターを、ポリA付加を受けないsnRNAのターミネーターと置換した。その結果、ポリA鎖が付かない状態で発現させたRNAは細胞内でMmilによって除去されることなく蓄積した。さらに、snRNAターミネーターの直前のコーディング領域にデオキシアデニンの連続配列を挿入したところ、転写産物は再度Mmilに依存した分解を受けるようになった。以上の実験結果は、Mmilによって誘起される、エキソソームによるmRNAの選択的除去において、ポリA付加複合体により付加されるポリA鎖が不可欠の役割を担っていることを示している。
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Bioscience, Biotechnology and Biochemistry 73
ページ: 21-28
Critical Review in Biochemistry and Molecular Biology 43
ページ: 277-283
http://www.biochem.s.u-tokyo.ac.jp/yamamoto-lab/index.html