研究概要 |
大脳神経細胞の樹状突起のスパインは頭も首もきわめて多様で、同じ形のスパインを見出すことは困難な程である。今回、2光子励起法でケイジドグルタミン酸を活性化して単一スパインを刺激しながら、スパインのカルシウム上昇を測定することにより、スパインの首の多様性がグルタミン酸受容体を通って流入したカルシウムの動態に強く影響することを明らかにした。この様に、スパインの学習法則にも形態依存性があり、ネックはその一つであることがわかった。これらの結果をまとめてNoguchi, J. et. al.(2005) Neuron 46: 609-622に報告した。 カルシウム依存性開口放出は神経・分泌細胞の機能の基本であり、我々は新しい機能測定法を開発している。本年度は2光子励起法の同時多重染色性を利用した、開口放出小胞直径のナノメータ測定法を開発し、TEPIQ(Two-photon Extracellular Polar-tracer Imaging-based Quantification)法と命名した。この方法論を用いて、分泌細胞における開口放出では小胞の事前のドッキングは必要でないこと、事前のドッキングは開口放出の準備状態というより、逐次開口放出の準備状態と考えられることを明らかにし、Kasai H et al.(2005) J. Physiol. 568: 891-903、Kishimoto T et al., (2005) J. Physiol. 568: 905-915、Liu T-T. et al. (2005) J. Physiol. 568: 917-929の三連報に報告した。また、副腎髄質細胞において空胞系逐次開口放出という分泌様式を見出した(Kishimoto et al. EMBO J. 25(2006)673-682)。
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