研究課題
(1)F_1-ATPaseのATP駆動の(正)回転機構3つの活性部位における化学反応と回転の連携を明らかにするため、磁気ピンセットで回転角を制御しながら、蛍光性ATPアナログの結合・解離の可視化を試みている。ADP解離のタイミングがほぼ分かった。また、極低濃度ATPに駆動される回転は、高濃度と機構が違うことが示唆された。一方、回転子の先端の17アミノ酸を削除しても回転特性は変わらない。回転機構の見直しが必要かもしれない。(2)F_1-ATPaseの逆回転によるATP合成の定量的研究F_1の強制逆回転でATPが合成されることはすでに示したが、合成機構に迫るには定量測定が必要である。問題の一つは、フローチェンバーの床だけでなく天井にもF_1が吸着してしまうことだったが、表面処理法の工夫によりほぼ解決した。溶液組成なども改善し、高い合成効率を示す系ができつつある。(3)ATP合成酵素のFo部分(Foモーター)の回転の証明の試み東工大吉田研と協同で、同研究室開発のFoF_1-ATP合成酵素の大量発現系を用いて、プロトン流駆動のATP合成に伴う回転を検出する試みを開始した。Foモーターの回転子部分とF_1モーターの固定子部分のそれぞれにtagを入れ、前者をプラスチックビーズに、後者をガラス面に固定することに成功した。まずはATP駆動によるF_1主導の回転を観察し、反時計回りのステップ回転を確認した。(4)ミオシンの歩行運動の可視化の試みミオシンVの脚部(軽鎖結合部位)に、脚の動きを反映する巨大目印として、ミクロンサイズの微小管を結合させることができた(早大石渡研、東大豊島研と共同)。今のところ片足への結合にしか成功していないが、ATP存在下で、あたかも「歩き」を反映しているかのごとく、アクチン線維上で微小管が前後に振れるのが観察された。まだ例数が少ないが、歩行動作であることの確認を急ぐとともに、歩行機構に迫りたい。
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