研究課題/領域番号 |
16011215
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
片山 栄作 東京大学, 医科学研究所, 教授 (50111505)
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研究分担者 |
伊東 祐二 鹿児島大学, 工学部, 助教授 (60223195)
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キーワード | 急速凍結電子顕微鏡法 / 3次元像再構成 / アクトミオシン / コンフォメーション変化 / 電子線トモグラフィ / 細胞内分子構築 / 細胞内分子標識 / 蛍光観察 |
研究概要 |
急速凍結ディープエッチ・レプリカ電子顕微鏡法を中心として、細胞内で機能遂行中の個々の蛋白質分子の3次元構造を一挙に捉え、その分子構造の変化を高精度で解析することを最終目標に据え、その基盤となる3種類の要素技術の開発を続けてきた。1)先ず、急速凍結レプリカ像から蛋白質1分子の3次元構造を再構成法する手法は概ね完成し、今年度はネガティブ染色試料やあるいは樹脂包埋切片など奥行きを持つ構造物のトモグラフィ手法の開発に着手した。新たな着想に基づき、電子線トモグラフィの最大の問題点である高さ方向の分解能劣化を最小限度に抑えて、アクトミオシンのネガティブ染色試料から一切の平均化なしでその3次元像を再構成することに成功した。また、高さ方向の分解能を更に向上させるための効果的な画像修復法を検討した。2)蛋白質表面の凹凸を反映すると推定されるレプリカ像の表面パターンを対象蛋白質の原子モデルからのシミュレーション像と定量的に比較する手法を開発した。それを用いて、機能中に急速凍結固定したアクト重メロミオシンの構造を解析した結果、滑り運動中のミオシン頭部ではこれまでに報告のない新たなコンフォメーションが実現していることが判明した。またクロスブリッジの構造変化の順序を合理的に推定することができた。3)細胞内に存在するさまざまの分子構築において、特定の分子やサブドメインの局在部位と向きをレプリカ試料の視野内で示し、さらには生きた細胞中におけるその分子の動態を蛍光顕微鏡で追うことを可能とする高性能の顕微鏡用標識の開発を進めてきた。上記のクロスブリッジの構造変化を直接の動画像として捉えるため、新たなデザインに基づくコンストラクトをミオシンに融合し、ミオシン頭部に目的とする標識を付加させることに成功した。さらに、生きた細胞内の受容体蛋白質など、より広範囲の分子構築にも同手法を適用すべく同様の試みを開始した。
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