研究概要 |
CSマウスは概日リズムや睡眠に異常を示す突然変異マウスとして知られているが、強制水泳試験や尾懸垂テストにおいても際立った異常行動を示すことを見出した。これらのテストは、抗うつ薬の評価法として古くから利用されており、試験時間内の無動時間をパラメーターとして用いるが、CSマウスでは何れの試験においても静止行動を全く示さず、いわゆる「行動的絶望状態」に陥ることがない。本研究ではこれらの結果をもとに遺伝学的アプローチにより異常行動を支配する遺伝子を特定することを試み、以下の成果を得た。 1.表現系の把握:CS(n=35)とC57BL/6J(n=40)及びそのF1(n=45)、F2(n=330)について強制水泳、尾懸垂テスト、概日リズムの全てにおいて測定を完了した。 2.マーカー遺伝子のタイピングと遺伝解析:各染色体最低3本のマーカー遺伝子を用いてselective genotypingを行い、高いスコアーが得られた染色体についてさらに詳細なマッピングを行った。その結果、尾懸垂テスト及び強制水泳テストに共通して、ある染色体に強いロッド値(それぞれ9.5,5.4)を持つQTLを見出した。 3.候補遺伝子の検索:C57BL/6Jをバックグラウンドとしてマーカードライブでコンジェニックマウスを育成し、QTL領域を含むマウス数種類を作成した。これらのコンジェニックマウスは形質を保持しており、導入した領域に原因遺伝子が存在することが示された。
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