研究課題
我々は今までに、新規な2型糖尿病モデルマウスであるSMXA-5系統と正常なSM/J系統との交雑系を用いた遺伝解析により、高脂肪食摂取下において強い効力を有する糖尿病遺伝子座を2番染色体にマッピングし、t2dm2saと命名した。この遺伝子を同定する戦略として、SMXA-5の2番染色体のt2dm2saを含む染色体領域(約120Mb)を正常なSM/J系統に導入したコンジェニック系統(SM.A-t2dm2sa系統)を作成して、この系統が糖尿病を発症することを確認した。すなわち、前記の120Mb領域に2型糖尿病遺伝子が存在することを確証した。本年は、このコンジェニック系統から導入領域をさらに細断片化したサブコンジェニック系統を作出してt2dm2saの位置を追い詰めることと、現在保有しているt2dm2saの位置情報から候補遺伝子探索をすることとを行った。1.サブコンジェニック系統の作出と、その糖尿病形質の解析本年度中に、t2dm2saの絞込みに好適な6種類のサブコンジェニック系統の作出に成功した。そのうち、2種類の糖尿病形質を解析し、糖尿病を発症する結果を得た。このことにより、t2dm2saの存在位置をD2Mit15を含む40Mbにまで絞り込むことができた。2.SM.A-t2dm2saコンジェニック系統とSM/J系統の肝臓、骨格筋、脂肪組織での遺伝子発現の違いを知るためのマイクロアレイ解析このコンジェニック系統の糖尿病の成因の解明と、t2dm2saの候補遺伝子探索の目的のために、コンジェニック系統と対照系統SM/Jの肝臓、骨格筋、脂肪組織のmRNAレベルの違いをマイクロアレイを用いて解析し、現在、結果を整理している。3.マウスゲノム情報を用いたt2dm2sa候補遺伝子の探索現在有している、t2dm2saの位置情報から2つの遺伝子を候補遺伝子として注目し、そのORFの塩基配列を調べたところ、そのうちの一つはSMXA-5でアミノ酸置換が3つあることが判明し、この遺伝子の候補遺伝子としての可能性を今後さらに検討していく。
すべて 2004
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