(1)全ゲノム解析結果に基づいた2型糖尿病候補遺伝子の解析: 我々の解析において日本人2型糖尿病の感受性領域である可能性が示唆された染色体21番領域の80種類以上の多数の遺伝子のSNPについて、東京大学人類遺伝学教室(徳永教授)において解析中である。症例として罹患同胞対法に用いた家系の糖尿病患者155名、対照はPSCより年齢と性別をマッチさせた100名を用いており、間もなく解析が終了する予定である。 (2)糖尿病網膜症関連遺伝子の解析: 2型糖尿病で網膜症を有する者500例と有しないもの350名を用いて、候補遺伝子であるVEGF遺伝子多型を検討した。その結果、検討した7種類のSNPの中で、全例を用いた解析では有意ではなかったが、増殖網膜症の有無でサブ解析した場合に1種類のSNPにおいて有意差を認めた。さらに、このSNPは硝子体液中VEGF濃度と関連している可能性が示唆された。現在投稿準備中である。 (3)新規MODY遺伝子の検討: インスリン遺伝子のpromoter領域に結合する蛋白の多くがMODYの原因遺伝子であるが、未だに検討されていない新規の蛋白であるMafAについてMODYパネルを対象として変異解析を行った。その結果、MODY例でのみ認められる変異とMODYで出現頻度の明らかに高い変異力確認された。現在、これらの変異について機能解析を施行中である。 (4)特許出願: 平成15年5月21日に「Calpain10遺伝子による2型糖尿病のリスク診断法」の出願を完了した。
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