研究概要 |
カンジダ(Candida)は化学療法により治療中の癌患者、エイズや免疫抑制剤等の投与によって易感染状態になった患者に対して重篤な深在性感染症を起こす真菌である。我々はカンジダについてゲノムワイドな研究を進め生物学的に深く理解することにより優れた抗真菌薬標的遺伝子の開発を目指している。カンジダ属のうち患者から最も高頻度で分離されるのはCandida albicansであり,次にC.glabrataである。最近C.glabrataの症例が増加傾向にあり特に問題となっている。C.glabrataは、分子分類学的にパン酵母(Saccharomyces cerevisiae)に近縁であり、S.cerevisiaeにおいて蓄積されたゲノム情報等の膨大は基礎研究データと比較することが容易である。このため、我々は研究の上でC.glabrataを用いた実験系を中心にカンジダの研究を進めている。まず、C.glabrataのゲノムライブラリーを作製しシークエンスを決めプロモーター領域を決定した。次にプラスミド上でプロモーター領域を人為制御型プロモーターに組換え、PCR法により組み換えたDNAを増幅し,C.glabrataに導入すると相同的組換えによりオリジナルのプロモーター領域が人為制御型プロモーターに置換した。平成16年度はS.cerevisiaeに相同性の高いC.glabrataの80遺伝子について組換え体を構築した。約5,300の全遺伝子を乗せたDNAアレイを構築するため、各70塩基から成る合成オリゴDNAセットを共同開発した。
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