研究課題
本研究では、(1)ホモロジーモデリングとフラグメントアセンブリ方式によるアビニシオ法を統合して、従来のホモロジーモデリングの問題の解決を図り、主鎖骨格レベルでの予測精度の向上を図るとともに、(2)精度の高い物理ポテンシャルと効率的な構造探索手法を用いた分子動力学計算に基づくアビニシオ法により、高精度のモデリングを実現する。(1)については、例えば、構造既知のテンプレートがC末端の26残基を除いて存在する130残基のタンパク質(PDB ID:1VM0)に対して、ホモロジーモデリング(Modeller)を用いてモデリングを行った領域(LEU104よりN末寄りの部分)に加え、申請者らのアビニシオ法を用いて生成した領域(LEU104以降の部分)を加えることにより、全体としてネイティブ構造と非常に近い構造を出力することができた。(2)については、平坦なエネルギー分布を生成することによりエネルギー障壁を越えて構造空間を効率的に探索することが期待できるマルチカノニカル分子動力学法を用いた。ターゲットとして、FNIII_<10>(PDB ID:1FNA)を用い、Modellerによって得られた予測構造(ネイティブ構造とのRMSDが3.0Å)をマルチカノニカル分子動力学法で精密化することを試みている。これにより、生成した構造の68%で予測精度の向上を達成し、そのうち、ネイティブ構造とのRMSDが0.7Åの構造を得ることができた。また、立体構造が多く決定されているSH2ドメインのうち、とくにXlp SAP(PDB ID:1D4W)の構造を予測する問題を取り上げ、本件についてもネイティブ構造に非常に近い構造を得ている。高精度モデリングは、詳細な機能の解析、薬剤設計などで重要と考えられるが、多数のタンパク質に適用できる技術が確立されているわけではなく、今後、さらなる研究が必要と考えられる。
すべて 2004
すべて 雑誌論文 (6件)
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