(1)質問学習法を使ってHLA-A^*0201と-A^*2402分子について結合性ペプチドの特異性解析を完了した。結合値のデータベースを使って、任意のアミノ酸配列のペプチドについて予想プログラムを作製、予想能を10-fold cross validation etc.によって検定した。 (2)予想プログラムを使って、ヒトC型肝炎ウイルス(HCV)ゲノム全長および、腫瘍特異的抗原であるWT1、survivinについて、HLA-A^*0201と-A^*2402結合性ペプチドを予想。実験にて結合能を確認したのち、物質特許出願を行った(情報解析担当のNECとの共同出願)。 (3)MHC class I分子、ペプチド、β2-microglobulinの3者の会合の特異性がどのように制御されているかを調べるため、阪大蛋白質研究所の後藤祐児教授らと共同で、MHCの重鎖に接すると立体構造上予想されるアミノ酸を置換した複数のβ2-microglobulin置換体を使って、ペプチド会合の特異性に対する影響を調べた。 (4)C型肝炎、担がん患者の末梢血T細胞を用いて上記で見つけた抗原ペプチドを認識するT細胞があるかどうか、を調べた。また、HCV感染モデルマウスを使った実験ができないか探るため、マウスMHC class I分子に結合するHCVペプチドを同定し、免疫実験を行った。 (5)上記(2)(3)で同定したワクチン候補ペプチドについて、将来、医師主導型の臨床試験を行う必要がある。本学の付属病院にて、臨床医と研究者が協力して臨床試験を行う経験をすることは重要である。このため、我々が数年前に阪大杉山治夫教授らと同定し、阪大病院で臨床試験が進んでいるWT1ペプチドを用いたがんの免疫治療がH16年度より厚労省の研究班として拡大される機会を利用して、本学付属病院でもペプチド免疫治療を立ち上げた。
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