我々が開発したCADLIVEを用いて生命分子ネットワークマップにポストゲノム情報を統合して、精密なマップを効率的に構築するためのアルゴリズム、ネットワーク上で自在に遺伝子ノックアウトを行うアルゴリズム、経路探索アルゴリズムを開発した。それらを用いて、大規模ネットワークマップのロバスト性や階層性・モジュール性を解明した。具体的には以下の4つを行った. 1.ネットワークマップへのポストゲノム情報の効率的統合化方法の開発 多様な階層の生命情報を統合するための制御反応式の書式として、SBML形式を拡張するかたちで開発した。ヘテロな情報をSBML形式の制御反応式に変換することによって、生命分子ネットワークに統合した。 2.遺伝子ノックアウトアルゴリズム 遺伝子ノックアウトによって、連鎖的に関連の分子を削除するためには、ネットワーク上のすべての分子について、それがどの遺伝子から間接的、直接的に生じるのかをグラフ理論を応用して追跡して、遺伝子をノックアウトするアルゴリズムを開発した。 3.経路探索によるロバスト性評価 遺伝子制御・代謝ネットワークの基本反応経路(Elementary Pathway at Dynamic State=EPDS)を探索するアルゴリズムを多分木アルゴリズムに基づいて開発した。また、大規模システムのEPDS経路探索を行うために、ネットワークのモジュール分割法を構築した。 4.システム解析 ポストゲノム情報統合による生命分子ネットワークの精密化、EPDS経路探索によるシステムのロバスト性の評価、モジュール性や階層性の解明について、酵母細胞周期や大腸菌のストレス応答を解析対象として行った。
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