研究課題
Sec61aをショウジョウバエ複眼や培養細胞で過剰発現すると不良品タンパク質が細胞質に逆輸送されて蓄積し細胞死が誘導されること、逆にSec61aの活性を遺伝学的に弱めることによりポリグルタミン病モデルにおいて細胞質に蓄積していた不良品タンパク質が減少し、晩発性の神経変性が回復することが明らかになった。次に小胞体でのストレスシグナルが神経変性の進行に重要と考え小胞体ストレス反応に応じてユニークなスプライシングを行うXBP1を利用した新しい小胞体ストレスモニター系を構築した。XBP1遺伝子と蛍光タンパク質をコードするVenus遺伝子とを連結した人工遺伝子(ERAI遺伝子)を作製した。このERAI遺伝子は本来のXBP1遺伝子と同様に小胞体ストレスを感知したIRE1によってスプライシングされ、活性化されるようにデザインされている。このERAI遺伝子を培養細胞に導入すると、小胞体ストレスによってVenusの蛍光が観察された。次に、このERAI遺伝子を持つトランスジェニックマウス(ERAIマウス)を作製した。培養細胞を用いた実験と同様に、人為的な小胞体ストレスをこのERAIマウスに与えた場合、腎臓をはじめとする多くの臓器・組織からVenus由来の蛍光が観察された。正常マウス脳においてもBipとVenusのシグナルが重なる神経細胞が観察された。これまでに報告されている小胞体ストレス関連神経変性疾患は数多くあり、この小胞体ストレス検出系を用いることで疾患と小胞体ストレスとの関連性が明らかになると期待される。
すべて 2004
すべて 雑誌論文 (6件)
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