研究課題
両眼立体視に関わる情報処理は、一次視覚野で始まり、多くの連合野皮質を必要とする。霊長類の大脳皮質において、この処理は、従来、頭頂葉経路で主になされていると考えられてきたが、本研究代表者らの最近の研究により、側頭葉経路においても、両眼立体視の重要な視覚てがかりである両眼視差が処理されていることが判明した。本研究においては、側頭葉視覚経路の主要な中継点であるV4野における両眼視差チューニング特性を定量的に解析した。V4野細胞は、交差視差に対して強いバイアスをもっており、チューニングカーブの最もするどい傾斜は、交差視差から0視差付近に存在する。このことは、背景からわずかに飛び出た視覚物体を検出することに適していることを意味する。V4細胞の両眼視差チューニングは、ランダムドットステレオグラム(RDS)を用いて調べたときと、ソリッド図形(SFS)を用いて調べたときでは、非常に異なっていた。一般的に、SFSで得られたチューニング曲線の方がRDSで得たチューニング曲線よりもなだらかであった。視差エネルギーモデルを用いた解析の結果は、2つの曲線が大きく異なる理由の一部は、SFSにおいて単眼像の位置ずれがあるのにたいしてダイナミックRDSは時空間白色雑音であり単眼像位置ずれがないことに起因していることを示した。このように、V4野における奥行き情報の表現は、刺激種によって異なっていることが判明した。
すべて 2004 その他
すべて 雑誌論文 (6件)
Technical Report on Attention and Cognition(http://www.L.u-tokyo.ac.jp./AandC/) (Publication on line)
Neuroscience Research 48
ページ: 155-167
Journal of Neurophysiology 91
ページ: 2782-2796
Journal of Neuroscience 24
ページ: 8170-8180
Cerebral Cortex (in press)
Journal of Neurophysiology (in press)