研究課題
CNRファミリーはく遺伝子クラスターを構成する多様化プロトカドヘリンであり、局在様式等から選択的シナプス形成に関与するのではないかと予想されている。CNRは嗅細胞の軸索に強く発現することから、嗅神経の選択的シナプス形成に関与するのではないかと考え、1)嗅糸球体におけるCNRの発現解析、2)単一細胞におけるCNRの発現様式、3)CNR遺伝子改変マウスにおける嗅神経投射、を検討した。1)近交系マウスC57BL/6とDBA/2を用いて発現地図の作製を行ったところ、CNRv9、v11ともC57BL/6では染色される糸球体が少なく、DBA/2ではより多数の糸球体が染色される傾向が認められた。さらにDBA/2では、C57BL/6やICRマウスで染色されない副嗅球にもCNRv9とv11の発現がみられた。両マウスとも、全CNRに対する免疫染色では、全糸球体が染色され、個々のCNRの発現制御にはマウスの遺伝的背景が影響することが明らかになった。2)全嗅細胞およびP2匂い受容体発現嗅細胞をGFP蛍光で識別できるノックインマウスから、それぞれ単一嗅細胞を分離し、RT-PCR法により発現しているCNRの種類を検討した。その結果、P2発現細胞のみで特異的に発現調節されるCNRは認められなかった。一方、嗅細胞と同じくCNRを強発現するプルキンエ細胞に単一細胞RT-PCR法を適用したところ、CNR遺伝子は対立遺伝子間で異なる発現制御を受けていることが示唆された。3)CNR遺伝子改変マウスである、CNR-Aノックダウン/CNR-B欠損マウスと、P2-およびMOR23-IRES-tauLacZマウスとの交配を行い、特定の嗅細胞軸索の投射様式を検討した。ホモ型マウスで、これらの嗅神経軸索走行に大きな異常は認められなかった。
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