研究概要 |
【背景】欧米におけるブレインバンクと同等の機能を果たすシステムを、「篤志によるものは公的ドメインに属し、公共の福祉に貢献する研究に提供する」という哲学を共有し、死体解剖保存法、剖検承諾書に基づき、共同研究のかたちで構築を試みた。【方法】1.脳組織リゾース:1972年5月よりの開頭連続剖検例の、臨床情報、肉眼所見、神経病理学的診断をデータベース化、パラフィンブロックとガラス標本を索引可能なかたちに整備。2.DNAリゾース:1995年1月より文書同意のもとDNA保存開始、apoE genotypingで品質管理。病理所見は、抗Aβ、リン酸化タウ、リン酸化αシヌクレイン、ユビキチン、apoE4抗体で、Ventana NX20自動免疫染色装置を用い評価。老化性変化(神経原線維変化、老人斑、レヴィー小体、アミロイド血管症、嗜銀顆粒、ユビキチン免疫反応性顆粒)、運動(BADL)・知的機能(CDR)を半定量化。3.凍結半脳リゾース:2001年7月より開頭剖検全例に神経病理専門医が対応。原則として右半球を7mm厚でスライス、粉末ドライアイスで迅速凍結、超低温槽に保存。対側半脳は20%中性緩衝フォルマリンに7-13日固定後、代表部位をパラフィン包埋。4.運用:都老人医療センター、老人総合研究所、共同研究先の倫理委員会の承認、共同研究者を老人総合研究所協力研究員として委嘱【結果】1.脳組織リゾース:現在まで6,705例を整備。パーキンソン病サブリゾースを構築中。2.DNAリゾース:1,523例を整備。SNP解析と臨床病理所見の関連を解析中。3.凍結半脳リゾース:421例整備。Microarray、Real time PCRによるmessenger RNA発現解析、蛋白化学、プロテオーム解析中。【考察】神経科学研究インフラストラクチャーとして、現在26施設と共同研究中。
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