研究課題
NMDA受容体(NR)サブユニットNR1のショウジョウバエホモローグdNR1はMg2+ブロックに必要なアミノ酸配列を持つが、NR2ホモローグdNR2ではMg2+ブロックに必要なアミノ酸配列を持たない。dNR1タンパクは匂い記憶に重要なキノコ体、antennal lobe、optic lobeなどのシナプス部位に存在し、dNR1、dNR2 mRNA両者とも同じ領域に由来する細胞に共発現している。ショウジョウバエの培養細胞であるシュナイダー(S2)細胞に発現系を変更してdNRの電気生理学的性質を調べたところ、dNR1、dNR2の2つで構成されるチャネルはショウジョウバエの生理学な細胞外Mg2+濃度(20mM)で、ほ乳類NRと同様のMg2+ブロック特性を示すことが分かった。dNR1の発現変異体を用いて、匂い学習記憶行動の解析を行った。変異体は初期学習や麻酔耐性記憶には異常を示さなかった。しかし、タンパク合成依存性の長期記憶に顕著な障害が見られた。これらのことからdNRは学習獲得やタンパク合成非依存性の記憶ではなく、長期記憶に関わる記憶情報の処理過程で、重要な役割を持つことが示唆された。Mg2+ブロックが、学習記憶行動において、どのような機能的意義をもつかを解明するため、Mg2+ブロックを消失するようにアミノ酸配列の変異を入れたdNR1(N631Q)[Mg2+ブロック消失型]とdNR2をS2細胞に共発現させ電気生理学的解析を行った。その結果、この組み合わせではMg2+ブロックが消失していることが認められた。そこでdNR(N631Q)を過剰発現させたトランスジェニックフライで、匂い学習を調べた。これまでの予備的実験では、dNR1に対する先の変異体、トランスジェニックフライ同様の結果、即ち、正常な初期学習と長期記憶障害が観察された。
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