研究課題
21世紀に求められる情報技術は、膨大な情報を活用して個人やグループの問題解決能力を高め、思考や議論を深めるものでなければならない。自分の脳に蓄えられた情報(知)に基づいて思考する人間を、外部の膨大な情報と創造的に相互作用させるためのカギは、人間の連想能力の活性化にあると考えられる。本研究の目的は、人間の連想能力の活性化に計算機科学の手法によりアプローチして、膨大な情報に基づく連想過程に計算的な基礎づけを与え、連想計算の基盤となる情報処理技術を提供することにある。本研究は、構成的アルゴリズム論に基づいて,100万件規模の文書DBを対象に連想計算(類似性計算)を高速実行するソフトウェア「連想計算エンジンGETA(Generic Engine for Transposable Association : http://geta.ex.nii.ac.jp/)」が高速実行する連想計算の数学的構造を、「連想計算の代数」として明らかにし、理論的基礎づけを与えた。さらに、その代数構造に基づくプログラム変換を用いるGETAの並列連想計算方式を提案し、そのPCクラスタ上の実装により実用上の有効性を検証した。さらに、連想計算の機構を「二つの世界とそれらを結ぶための双方向変換」として定式化し、双方向変換言語を提案した。双方向変換は、2つのデータの間での同期を取ることを目的に考案された技術であり、始点と終点の2つのデータ間について、順方向の変換を記述することが同時に逆方向への情報の更新方法も実現するように設計されている。連想計算の新しい応用として、「梅林(Bi-Link)」という新しいファイルマネージャを実現した。既存のファイルマネージャは実際のディレクトリ木の見せ方に関する自由度が低い。ファイルに対する注釈、表示するファイルの順序、特定のファイルの隠蔽などいくつかの基本的な機能は提供されているが、ユーザはそれらを細かにカスタマイズすることはできない。「梅林」では、このような"見せ方"を連想計算(双方向変換)として記述する。そのため、これらの機能を統一的に表現でき、なおかつ見せ方の自由度を高めている。
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (6件)
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