研究課題
平成16年度は、手を使った作業をロボットに伝達する上で、物の掴み方の伝達に着目し、この実現を目的として研究を行った。日常においては、鉛筆や瓶の蓋開けのように、指を器用に使って物を操る局面が数多く現われる。こういった多様な物体を操作するためには、汎用性のある多関節多指ハンドが必要であり、この時重要なのが、把持の形状をうまく人間からロボットへ伝達することである。しかしながら、人間の手の構造とロボットの多指ハンドの構造は同じではないため、何かしら中間表現を介して把持の形状を伝達する必要がある。この中間表現として、作業療法の分野における静的把持の分類分けの知見を利用し、ここで得られた14種類の把持を把持プリミティブとして定義した。そして、以前に提案した人間の操りを把持プリミティブ列として認識する手法の出力から、多指ロボットハンドを使用し操りを再生する手法を提案した。ここで、把持プリミティブの数は有限であるため、把持プリミティブ間の遷移の種類も有限であり、実際に現われうる遷移の数はさらに少なくなる。そこで、あらかじめ現われうる遷移戦略を用意しておけば、把持プリミティブ列からロボットによる把持動作を生成することが可能になる。把持をされる物体の形状は、把持プリミテイxブの種類によって既定されるため、ロボットハンドからの圧力センサと視覚を利用することによって、比較的単純なフィードバック制御で遷移戦略を記述することができる。まず、触覚センサ・力センサを分布した4指の多関節ロボットハンドを開発し、これと実時間ステレオ視覚を用いて検証実験を行った。作業ドメインには茶道の点前を選択し、これを記述する上で十分な遷移戦略の種類を数え上げた。また、そのうちから代表的な遷移戦略である、(1)空から指突把持、(2)指突把持から三面把持標準型、の2種類を実装し、持ち替え動作の再生が可能であることを示した。
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IEEE Transactions on Robotics Vol.21,No.1
ページ: 47-57
日本ロボット学会誌 Vol.22,No.6
ページ: 62-73