研究概要 |
人間と機械が対話を行うことを考えるとき,機械が人間同士の会話と同様にあいづちや返答(話者交替)などの応答を返すことができれば,より円滑な対話を行うことが期待できる.本研究では,特に雑談のような対話に着目し,自然な雑談対話をする上で最も重要であるタイミング生成手法を提案した。さらにそれを用いて、種々の雑談的対話現象を生成できる対話システムの枠組みを提案し、それに基づく対話システムを試作した. これまでに、ユーザーシステム間の対話において、システムはユーザのポーズを検出し、その直前のユーザ発話の特徴から決定ルールを用いて相槌や話者交替の判断やそのタイミングを生成する手法を提案した。本年度はこれを、ポーズ検出に基づかない手法とし、さらに、相手の発話内容を予測してオーバラップして発話する「同調発話」などの、新たな雑談現象に対応できる手法に拡張した。ここでは、応答内容を種々の現象に対応して時々刻々並列に生成しておき、タイミング生成器によってどの応答内容をどのタイミングで生成するかを決定して出力する構成となっている。タイミング生成や、発話内容の選択には、最後のユーザ発話の表層的言語情報及び韻律情報(ピッチやパワーの変化パターン)を情報源として用いた。ユーザ側のいいよどみやオーバラップする割り込み(バージイン)にも頑健に動作するようにした。 この対話システムとの対話実験を行った結果、自然なタイミングでの相槌や話者交替、限定的な場面ではあるが同調発話を生成することが可能であることが示された。
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