研究概要 |
ピアツーピアネットワークを利用する情報流通形態の重要性は高まっており,その情報検索手法も,単純な検索からコンテンツべースの検索に発展している.しかし,問合せ応答時間,問合せパケットによるネットワーク帯域圧迫に関する問題は解決されていない.そこで,本研究では,分散型インデックス技術とは異なる技術として,JXTAのクエリー・ルーチング機能の発展を試みた.具体的には,問合せ要求に情報資源の特性を記述し,問合せに合致する情報資源を持つピアから検索ピアへ返送される応答内容を各ピアのルーチング機構により学習を行う.そして,問合せ転送時に,問合せとそのルーチング情報を照合し,隣接ピアの中でどのピアに問合せを転送するのが適切であるかを判断し転送する手法である. 我々は,階層型問合せルーチング機能としての提案を行い,プロトタイプシステム実装,さらに,階層型ネットワークルーチング機構に対する解析モデルを用いた性能評価を行った.これらの結果に基づいて,提案システムのスケーラビリティなどに関する検討を行なった.そして,階層型問合せルーチング機構の特性,転送遅延時間のある実ネットワークにおけるP2P情報フィルタリングシステムのスケーラビリティや安定性などに関する性能評価に関する知見を得た. また,小規模なPCクラスタを用いたP2Pネットワーク環境下で,プロトタイプシステムの実装と実行を行った.P2Pシステムの各種性能評価を行うために,転送遅延機能をもつルータを用いたインターネットエミュレーション環境を構築した.実験環境は,実ネットワーク環境に近いネットワーク構築を行うため,転送遅延ルータ用PC上にNistNetを利用した転送遅延ルータを相互接続したものである.
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