研究概要 |
本研究では,次世代のHPC(HPC : High Performance Computing)環境として台頭してきたGPU(Graphics Processing Unit)に着目し,プログラム可能な2つの内部プロセッサ(VP(Vertex Processor)とFP(Fragment Processor))をもつGPUを装備したPCクラスタを用いて医用画像処理の高速化を実現する.具体的には,GPUが本来の対象としてきた描画処理(レンダリング)を始め,これまで対象としていなかった非描画処理を新しい用途として開拓していき,GPUによる非描画処理のためのプログラミング手法を確立する. 本年度は次に挙げる3つの課題を研究した. 1)GPU内プロセッサ間命令移動による性能向上手法 一般にGPUを用いたプログラミングを行う場合に,FPを中心にしたプログラムとなる.したがって,FPの処理負荷がVPのそれより多くなり,GPU全体としての効率が悪い.そこで,任意にVPプログラムとFPプログラムが与えられた場合に,FPからVPに移動可能な命令を移動させ,GPU全体の効率を上げる方法を提案した.医用画像の基本処理であるガウスフィルタのGPU実装に,この提案方法を応用し,約2倍の性能向上があることを実証した. 2)GPUによる2次元/3次元画像位置合わせアルゴリズムの開発 CPUによる実装と比較して,GPUによる実装は20〜100倍の速度向上が見込めることを実験により確認した. 3)大規模データを可視化するための効率のよいボリュームレンダリング 研究成果は,論文誌および国際会議において発表していて,高い評価を得ている.
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