研究概要 |
本研究は,Webコンテンツの中から設計・製造に役立っ機能的な知識に焦点を絞り,共有可能な設計知識コンテンツの記述(生産)・活用環境を開発することを目的としている.本年度ではWebコンテンツの不均質性を緩和することに焦点を絞り,工学タスク(問題解決行為)ごとに異なっている異種知識源をセマンティックウェブ環境で統合・活用できる「セマンティック・トランスフォーメーション」の基盤技術を実現することを目標とした.例えば,信頼性工学でよく用いられるFMEA(Failure Mode and Effect Analysis)シートと概念設計で用いられる機能分解木はどちらも部品の機能に関する知識を含んでいるが,設計者のタスク・コンテキストに依存して知識の背後にある概念体系(オントロジー)が異なっており,現状では相互運用性がない.これをそれぞれのオントロジーを明確化し,対応づけることによって,知識を自動変換する枠組みを構築した.そのために,まず,タスク依存オントロジーとしてFMEAオントロジーを定式化した.また,製品に対するユーザの操作との関連について考察した.次に,機能オントロジーを拡張した拡張機能オントロジーを構築し,それとFMEAオントロジーで定義される概念同士を対応づけるオントロジーマッピング知識を記述した.次に,この知識に基づいて対象モデルを変換するシステムを,従来から開発してきたオントロジーエディタを拡張することで,実装した.最後に,小規模なモデル例を記述し,実際に変換ができることを確認した.
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