研究課題
研究成果としては、大きく分けて共通テストベッドの開発と提供、ヒューマン・エージェントの行動分析、マシン・エージェントによる研究の3つに分けられる。人工先物市場U-Martシステムは、ヒューマン・エージェントとマシン・エージェントが混在するシミュレータという特徴を持っている。GUIやログ形成などを統一する事で、ヒューマン・エージェントが参加するリアルタイムの実験と、計算機による加速実験の両方をシームレスに実行できるシステムである。このシステムを開発、公開し国内外の研究機関、教育機関で広く使われている。我々は、このシステムを用いてヒューマン・エージェントの行動把握に関する研究を行った。ポジション・コントロールに焦点をあてて学習曲線を調べてみると、6回程度の実験で習熟する事がわかった。また、他人の注文情報(板情報)の有無が取引の成功率に与える影響を調べた。判断する時間が短いと、板情報が活用されない事がわかった。マシン・エージェントによる加速実験による成果は2つある。1つは、エージェントの組成が価格変動やエージェントの資産変化にどのような影響を与えるかという問題である。金融市場一般に見られる尖度の高い分布は、エージェントの種類や組み合わせの複雑さが、中程度の時に起きる事がわかった。また、約定率を上昇させる事を目的としたマーケット・メーカーのモデルをつくり分析した。どのようなタイプのマーケット・メーカーであれ、注文を継続的に出し続けなければならないという要請を満たすエージェントを加えると取引頻度が増大した。一方で、マーケット・メーカーの収益をみるとスプレッドを固定するタイプのエージェントは価格変動がGARCH型の場合収益をあげられないが、スプレッドをポジションに従って変動するタイプのエージェントは、比較的安定的に収益が得られる事がわかった。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (4件)
Agent-Based Simulation from Modeling Methodologies to Real World Applications(Terano, T., H., Arai, K. Deguchi, H.)
ページ: 82-88
システム/制御/情報 49巻7号
ページ: 19-24
生駒経済論議 3巻1号
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都市問題研究 57巻9号
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