研究概要 |
ソフトウェア部品の組合せ開発を中心とするコンポーネント技術が,開発期間の短縮と開発コストの削減を目的として注目されている。コンポーネントとは,あるサービスを提供する,独立して交換可能なソフトウェア構成単位であり,これをレゴ・ブロックのように組み合わせることによって,ソフトウェアを開発することを目指している。コンポーネントを開発・運用するためのコンポーネントアーキテクチャ体系が成熟しつつあるのに対して,既存のコンポーネントを適切に再利用する仕組み・方法論は未成熟である。我々は,この未成熟の理由を,良いコンポーネントの不足,コンポーネント開発・利用の技術・ツールの不足と考えている。本研究は,コンポーネントの積極的な利用を促進するために,このような技術・ツール・コンポーネントを実現することを目的とする。さらに実現された技術・ツールを統合化環境として提供することを目的とする。 本研究の成果として,以下のような諸項目が検証されつつある。 ・開発効率性:既存のコンポーネントを再利用することで,目的とするソフトウェアの開発期間を短縮し,開発コストを削減することができる。 ・適応性:構成する個々のコンポーネントの置換・修正作業によって,ソフトウェア全体の要求仕様や運用環境の変化に対応することができる。 ・信頼性:信頼性の高いコンポーネントを組み合わせることで,ソフトウェア全体について一定以上の信頼性が得られる。 ・位置透過性:インタフェースと実装の分離に基づきコンポーネントを分散オブジェクトとすることで,ネットワーク上におけるコンポーネント群の配備状況を意識する必要が減少される。
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