研究概要 |
本研究は,制約プログラミングを用いて,視覚的システムの仕様を視覚化モデルとして形式化し実現するという,ソフトウェア構築の新しいアプローチに基づく実証的・研究を通して,その有効性を検証することを目的とする.その際の具体的な例題としてWebブラウザの視覚化モデルを念頭に置き,特に標準仕様であるCascading Style Sheets level 2の視覚化モデルの形式化と実現を目標とする.さらに,その際に必要となる制約プログラミング技術として,基盤的な制約解消法とその処理系を新たに構築する. 初年度である平成16年度においては,階層的優先度を備えた線形制約と単方向制約の系を解く新しい手法を提案した.本手法は,線形制約解消アルゴリズムCassowaryを拡張し,新たに単方向制約を扱えるようにしたものである.本手法は,単方向制約の指定において多様な関数を利用でき,このような単方向制約を利用することで,Webブラウザの視覚化モデルを扱う際に必要となるテキスト配置のような複雑な振舞いに対応することが可能である.例えば,テキスト配置のための矩形領域を表現するために,その幅を表す変数を入力とし,その高さを表す変数を出力とするような単方向制約を利用することができる.また本手法では,このような単方向制約に対しても,階層的優先度を指定することが可能である. 本研究の成果は,複数の国際会議及び国内会議において発表された.
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