研究課題
レンチウイルスベクター発現系を利用してcDNAライブラリをヒト細胞に効率よく発現する実験法として完成した。これはラムダファージインテグレースによる部位特異的組換え反応を利用し、ヒト白血球由来のcDNAライブラリをヒトT細胞(MT-4)に感染導入し、HIV感染による細胞障害性を抑制する細胞遺伝子の同定を試みたものである。その結果、CD14遺伝子をT細胞に導入するとウイルスの侵入が部分的に抑制されてHIV感染による細胞破壊から完全に免れることを発見した。また、別にCD63分子がHIV感染に強力に影響を及ぼすことを新たに見出した。このCD63分子は4回膜貫通部位を有するTetraspaninという分子群に属する蛋白質のひとつであり、細胞質膜とエンドゾーム・リソソーム膜に局在していることはわかっていたが、その生理的機能についてはほとんど知られていない。さらなる実験の結果、CD63のN末端の細胞外ドメインを欠損させると細胞増殖活性にはまったく影響を与えずにCXCR4のダウンレギュレーションを持続的に誘導し、その細胞はHIV感染に抵抗性を獲得すること、一方、この分子のC末端のリソソーム移行により効率的なウイルス粒子の放出が増強されることがわかった。CXCR4のダウンレギュレーションはCD63分子N末端欠損変異体の発現によりCXCR4が細胞内に貯留させられること、CD63分子のN末端領域はその分解と移動を規定していることが新たにわかった。さらにレンチウイルスベクターによる遺伝子導入効果を評価するモデル動物として、ヒト血液幹細胞を移植した免疫不全マウス(NOG)マウスを作製し、数ヶ月以上T細胞の構築が可能であることがわかった。そして、このマウスにHIVは感染しうることを証明した。
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