研究課題/領域番号 |
16017218
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
山本 友子 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 教授 (60110342)
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研究分担者 |
友安 俊文 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 助教授 (20323404)
高屋 明子 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 講師 (80334217)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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キーワード | 病原性 / サルモネラ / 細胞内寄生 / マクロファージ |
研究概要 |
チフス性サルモネラは、マクロファージ内でファゴソームの成熟過程を変化させることによりリソソームとの融合を阻害し、特異的なvacuole (SCV : Salmonella-containing vacuole)に成熟させ、その中で増殖する。このようなSCVメンブラントラフィックスはサルモネラの細胞内寄生戦略上最も重要であるが、この機構はまだ解明されていない。そこで、サルモネラの細胞内寄生性を多面的に制御する因子を同定し、それらの機能解析により、細胞内寄生性を軸としたサルモネラの病原戦略解明を目的として研究を行い以下の事柄を明らかにした。 (1)サルモネラの細胞内寄生性はAAA^+プロテアーゼLonにより厳密に制御されていることが明らかとなった。LonはSalmonella Pathogenicity Island(SPI)1レギュロンの最上位に位置する制御因子HilC, HilDのターンオーバーを介してレギュロン全体の負の制御因子として機能し、SPI1エフェクターによる感染マクロファージのアポトーシス誘導率を制御していた。サルモネラによるマクロファージアポトーシス誘導にはCaspase-1が関与し、中心的な実行因子であるCapase-3は関与しないと報告されているが、Lon欠損変異株感染によりCapase-3が誘導され過剰なアポトーシスが引き起こされたこと又、LonはSPI1サルモネラがマクロファージに貪食されると直ちにSPI1の発現を低下させたことから、Lonはマクロファージが過剰なアポトーシスに陥るのを防ぐことにより病原性制御に関わっていると考えられた。 (2)AAA^+プロテアーゼClpXPがサルモネラの細胞内寄生性に必須な役割を果たすことが明らかとなった。ClpXPは病原性関連蛋白PagCを安定化するシャペロン様蛋白の産生を負に制御する因子であった。PagCは膜貫通蛋白質であるが、Outer membrane vesicle(OMV)として細胞外へ放出される仮説を立て、これを実証した。PagCは、SCV内のサルモネラからOMVによってマクロファージ細胞質に輸送されることが明らかとなった。 (3)PagCはこれまでサルモネラ病原因子として報告されてきたが、本研究においてPagC過剰産生によりサルモネラが弱毒化すること、さらにClpXP変異弱毒株がPagCの欠損により強毒化することが明らかになったことから、PagCはサルモネラのマクロファージ内増殖を制御して病原性を抑制するattenuating virulence factorであるといえる。
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