研究課題
アセチルCoA:リゾPAFアセチル転移酵素(リゾPAF-AT)は、血小板活性化因子(PAF)の産生にとって重要な生成反応を触媒する。腹腔マクロファージにおいて、この酵素はLPSによってプライミングされる。すなわちPAFで細胞を刺激してこの酵素の活性を上昇させるとき、LPSで前処理しておくと酵素活性の上昇がさらに増大する。申請者はこのプライミング効果がTLR4依存的かつMyD88非依存的に起きることを既に明らかにしているが、さらなる分子機構の解析を進めるために今年度は以下の実験を行った。大阪大学審良教授より供与していただいたTRIF-KOマウスの腹腔マクロファージを用いた実験から、LPSのプライミング効果はTRIF非依存的に起きることが明らかになった。野生型マウスの腹腔マクロファージを用いた実験でIFNβはLPSの代わりにプライミング効果を惹起することはできず、また抗IFNβ抗体はLPSのプライミング効果を抑制できなかった。これらの結果はプライミング効果がTRIF非依存的現象であることを支持している。一方、シクロヘキシミド処理によりプライミング効果は大きく減弱したことからde novoのタンパク質合成の関与が示唆された。上記のアプローチとは別に、リゾPAF-ATに対するLPSプライミング機構をこの酵素の部分アミノ酸配列を決定し、cDNAクローニングすることによって明らかにしようとする試みも行っている。ブタ脾臓のミクロソーム画分(ホモゲナイズ後に10,000×gで遠心した上清を、さらに100,000×gで遠心したときに得られる沈殿)から界面活性剤を使い酵素活性を可溶化後、数種類のカラムクロマトグラフィーによって部分的に精製した分画を既に得ている。現在、この分画を質量分析計で解析することによって部分アミノ酸配列を決定するための条件を検討中である。
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