研究課題/領域番号 |
16017239
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
北出 幸夫 岐阜大学, 工学部, 教授 (20137061)
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研究分担者 |
中西 雅之 岐阜大学, 工学部, 助教授 (00281048)
田中 信忠 昭和大学, 薬学部, 講師 (00286866)
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キーワード | マラリア / 抗マラリア薬 / SAH hydrolase / 酵素阻害薬 / X線結晶構造解析 / 医薬品開発 |
研究概要 |
1)先に発現・精製した熱帯熱マラリア原虫SAH hydrolaseの結晶化およびX線結晶構造解析に成功した。その際、基質アデノシンとの結合部位を解明することができた。既に、我々はアデノシン塩基の2-位にフッ素原子を導入した2-フルオロノルアリステロマイシンが熱帯熱マラリア原虫酵素に対して選択的阻害活性を示すことを明らかにしている。結晶構造解析の結果、マラリア酵素にはアデノシン2位付近の空隙の存在が、2位フッ素原子の導入によるマラリア酵素に対する選択阻害活性をよく説明した。 2)X線結晶構造解析の知見を基盤とする塩基部2位にフッ素原子やシアノ基などの置換した各種炭素環ヌクレオシド(2-fluoroaristeromycin)などの選択的阻害活性が期待される誘導体を分子設計・合成した。合成した誘導体の選択的阻害活性をヒト酵素および熱帯熱マラリア酵素を用いて調べたが、その選択阻害活性を確認できた。 3)この選択的阻害活性が、ヒト酵素におけるThy60がマラリア酵素ではCys59に相当しアデニン塩基部2位付近に空隙が生じ2位フッ素原子置換などを受け入れるものと考えられた。このアミノ酸の置換が選択的阻害活性をもたらすのか、ヒト酵素60番目のThyをCysに変換した変異酵素を作成した。この変異酵素を用いて阻害剤特異性に変化が生じるか検討を加えた。その結果、この選択阻害活性は、アデニン2位付近のCysに依存する空隙に由来することを明らかにした。 4)更に、マラリア酵素と2位にフッ素原子を有する阻害剤との結晶化を検討中である。
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