研究課題
本年度、コレラ菌のMLPと走化性システムに含まれる3つのCheAホモログの共役関係の推測と実験的検証を行った。che遺伝子クラスターIとIIIにはそれぞれ4つまたは2つのmlp遺伝子が含まれることから、これらのMLPは、CheA1(システムI)またはCheA3(システムIII)と共役していると推測した。一方、システムIIにはmlp遺伝子が含まれない。システムIIと共役するMLPを予測するために一次構造を解析し、19のMLPは腸炎ビブリオ菌のMLPと相同であることを示した。腸炎ビブリオ菌はCheAを一つだけもち、コレラ菌のCheA2に相同であるので、これらのMLPはCheA2(システムII)と共役していると推測される。これらの推測を実験的に検証するため、メチル基転移酵素CheRホモログによるMLPのメチル化について調べた。大腸菌MCPのCheR結合配列と同様なモチーフがMlp01とMlp45のC末端にも保存されており、CheR3はコレラ菌の3つのCheRホモログの中で大腸菌CheRと最も相同性が高かった。このモチーフが、おそらくCheR2との結合の場となることによって推定CheA2共役型MLPのメチル化に重要な配列であると示唆される結果が得られた。つづいて,走化性タンパク質にGFPを融合させ、細胞内局在を調べた.システムIIとシステムIの走化性タンパク質はべん毛側の極に局在すると推定された。詳しく局在条件を検討したところ、CheA1-GFPとGFP-CheY2の局在は培養液を静置することで進行し、振盪すると失われることがわかった。また、局在が確立した後、試験管中の気体を窒素に置換して振盪した場合には、局在は維持された。以上の結果から、CheA1とCheY2は微嫌気条件依存的に局在性を示すと考えられた。システムIは、宿主体内など嫌気条件下で機能するのかもしれないことが判明した。
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