研究課題/領域番号 |
16017245
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高原 和彦 京都大学, 大学院・生命科学研究科, 講師 (90301233)
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研究分担者 |
稲葉 カヨ 京都大学, 大学院・生命科学研究科, 教授 (00115792)
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キーワード | 微生物 / 糖鎖 / リポ多糖 / レクチン / Toll-like receptor / グラム陰性菌 / 酵母 / CD14 |
研究概要 |
免疫系細胞には種々のレクチンが発現し、異物認識レセプター等として働いている。一方、結核菌成分によるヒトDC-SIGNを介した樹状細胞(DC)の成熟抑制やMφ上のDectin-1によるtoll-like receptor (TLR)2による微生物認識応答の促進等、レクチンによる免疫系の制御についても報告されつつある。我々は、DC-SIGNのマウスホモログとしてmDC-SIGN、SIGNR1〜SIGNR4を同定し、この内でSIGNR1が生体内の限られたMfに発現し、脾臓においては血中の糖鎖抗原捕捉に働く主なレセプターであることを示した。本研究では、上記レクチンの微生物認識における役割とその標的を同定し、また活性化に重要なTLRとの相互作用を検討し、病原微生物への生体防御機構を探ることを目的とした。 -今年度の成果- 1)mDC-SIGN、SIGNR1、SIGNR3が抗体架橋後に細胞内に取り込まれること、およびSIGNR1とSIGNR3がマンナンへ結合することを確認した。さらにSIGNR1とSIGNR3がC. albicansを認識し、細胞内に取り込むことを蛍光quenching法で確認した。2)常在性腹腔MφによるSIGNR1の発現が新たに示された。一方、炎症腹腔Mφには発現は認められなかった。また、常在性MφのみがSIGNR1依存的にFITC-dextranを結合したが、C. albicansの認識にはDectin-1と思われる分子と共働することが示された。3)上記3種の内、SIGNR1のみがグラム陰性菌(大腸菌、サルモネラ菌)を認識した。この結合はLPSによって阻害された。次に、この結合を様々な糖鎖欠失LPSを用いて阻害し、SIGNR1がLPSのcore領域の非還元末端側を認識している事が明らかになった。 以上の実験から、これらレクチンの微生物認識機構の一端を明らかにした。
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