研究課題
肝癌は我が国の癌死の第3位を占め、その約8割がC型肝炎ウイルス(HCV)感染に起因している。HCVコア蛋白質を発現するマウスがヒトと似た経過で脂肪肝・肝癌を発症することから、HCVコア蛋白質の宿主細胞内での機能が注目されている。本研究では、HCVコア蛋白質の成熟過程と病原性発現機構の詳細を明らかにし、宿主蛋白質を標的とした新規治療法開発の基盤確立を目的としている。1)宿主細胞内におけるコア蛋白質の成熟過程の解析:SPP切断に必須なコア蛋白質内のアミノ酸残基および小胞体局在に必須なコア蛋白質内の領域を139-144アミノ酸と176-177アミノ酸領域と同定した。2)PA28γの脂肪肝および肝癌成立過程への影響:HCVコア蛋白質トランスジェニック(コアTg)およびPA28γノックアウト(PA28γKO)マウスを交配し、PA28γKOコアTgマウスを作製した。PA28γKOマウス、コアTGマウスとPA28γKOコアTgマウスと比較し、コア蛋白質発現量および体重などには差を認められなかったが、両者の肝臓の脂肪化には著しい差が認めらた。3)SPPおよびPA28γに対するRNAiによるコア蛋白質病原性発現の調節:siRNA発現ベクターによるSPPおよびPA28γ発現抑制のために、まず培養細胞を使って、PA28γおよびSPPに対するsiRNA標的遺伝子配列をU6プロモーターで発現することによって決定し、培養細胞におけるPA28γの発現を大幅に抑制することに成功した。
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Journal of Virology 79(印刷中)
Journal of Virology 78
ページ: 6370-6380
ページ: 1271-1281