研究概要 |
1.DnaAのATP結合阻害剤に関しては、基となる化合物の化学修飾を行い、10種類以上の新規化合物を得た。現在これらの化合物のATP結合阻害活性、抗菌活性、体内動態などを解析している。 2.ATP結合活性以外をターゲットとしたDnaAの阻害剤の開発に関しては、ATPase活性、DNA結合活性に関してそのアッセイ系の確立を行った。今後他の活性(膜リン脂質結合活性、重合活性)に関しても、アッセイ系の確立を行う。 3.ORCの種々の活性に関しては、ORCを構成するサブユニットの一つであるOrc5PのATP結合活性に関して解析を行った。Orc5pのATP結合活性に関しては、その機能は全く分かっていなかった。我々はATPと結合できない変異Orc5pを含む変異型ORC-ORC5-Aを構築し、それを発現する酵母変異株orc5-A変異株を構築した。orc5,A変異株は温度感受性を示し、Orc5pのATP結合活性が重要であることが分かった。この温度感受性の原因としてorc5-A変異株では高温でORCが分解すること、即ち不安定化することを見出した。この分解はユビキチン-プロテアソーム系に依存しており、ユビキチン-プロテアソーム系に関与する遺伝子の変異導入により、orc5-A変異株でのORCの分解、及び高温感受性は抑圧された。以上の結果は、Orc5pのATP結合活性はORCが細胞内で安定に存在するために必要であることを示している。
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