研究課題
特定領域研究
RhopH複合体は、申請者らが遺伝子を同定し、原虫側リガンドであることを明らかにした赤血球侵入型マラリア原虫の先端部小器官分子であるが、本研究は、その赤血球側レセプターの同定を目的として実施した。ネズミマラリア原虫のPlasmodium yoeliiのRhopH2およびRhopH3に対する特異的モノクローナル抗体を用いたフローサイトメトリーにより、酵素処理を加えた赤血球や遺伝子改変マウスの赤血球について結合能を検討したところ、PyRhopH複合体の赤血球側レセプターはGPIアンカーにより赤血球表面に結合している蛋白質である可能性が示唆された。また、連鎖解析の手法によりレセプターをコードする遺伝子座が局在する染色体領域を決定できる可能性が高いと考え、ネズミマラリア原虫P.yoeliiのRhopH複合体の赤血球結合の程度に著しい差が見られたC57B/6J系マウスとMSM/Ms系マウス間の遺伝子交配系を用いて、赤血球結合能と関連する染色体領域の探索を行い、レセプター候補分子がマウスの第11染色体に局在することを見出した。さらに第11染色体のみが組み変わったコンソミック・マウスからバッククロス群を作成し、個々のマウスについて赤血球結合アッセイを行った。結合形質と遺伝子型とを比較しQTL解析を行ったところ、第11染色体上の15cMのサイズまで標的遺伝子領域が絞られた。この領域には赤血球表面に存在するGPIアンカー結合型タンパク質が存在せず、この領域にコードされているのはレセプター自体ではなく、その質や量に影響する間接的な因子である可能性が示唆された。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (4件)
Mol Biochem Parasitol 140(1)
ページ: 13-21
Mol Biochem Parasitol 143(1)
ページ: 20-28