研究課題/領域番号 |
16017273
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
坪井 敬文 愛媛大学, 無細胞生命科学工学研究センター, 教授 (00188616)
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研究分担者 |
竹尾 暁 愛媛大学, 無細胞生命科学工学研究センター, 講師 (40302666)
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キーワード | マラリア / 伝搬阻止 / ワクチン / 無細胞タンパク質合成 / 国際研究者交流 / タイ |
研究概要 |
マラリア伝搬阻止ワクチンは、それ単独でマラリアの流行を抑制できるのみならず、現在開発中の他種のマラリアワクチン及び治療薬に対する新たな耐性原虫の拡散を阻止できる点で、カクテルマラリアワクチンの必須の構成成分と考えられている。ところが、熱帯熱マラリア伝搬阻止ワクチン候補として研究が進められている抗原は現在までわずかに4種類であり、未だ実用化に至ったワクチンは無い。熱帯熱マラリア原虫のゲノム情報が2002年に公開され、媒介蚊ステージで発育する生殖母体に特異的に発現するタンパク質の中に有望な伝搬阻止ワクチン候補が含まれていると予想されている。しかし、既存の方法で熱帯熱マラリア原虫蛋白の発現は困難であった。本研究は、コムギ胚芽無細胞タンパク質合成系を用いて生殖母体期のタンパク質から新規の伝搬阻止ワクチン抗原を同定することを目的に開始した。 1.既知の熱帯熱マラリア伝搬阻止ワクチン候補抗原であるPfs25をモデルとして、原虫由来遺伝子(AT含量が70%以上)、及び酵母発現用にコドンを改変した人工合成遺伝子(AT含量が約50%)をコムギ胚芽無細胞タンパク質合成系を用いて発現した。その結果、いずれも等量に発現でき、マウスに対する高い抗原性も同等であった。さらに、その抗血清のワクチン効果も同等に確認された。 2.熱帯熱マラリア原虫のゲノム情報から、生殖母体に特異的に発現していることが予想されている遺伝子を約200種類選択した。これらの遺伝子それぞれの全長を増幅するPCRプライマーを設計した。熱帯熱マラリア原虫NF54培養株の生殖母体から総RNAを抽出しcDNAを作成した後、これらを用いて生殖母体特異的cDNAをPCR増幅し約190種類のcDNAをクローン化した。コムギ胚芽無細胞タンパク質合成系を用いて組換えタンパク質の発現を試みたところ、現在までに約100種類の組換えタンパク質合成に成功した。
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