研究概要 |
1、麻疹ウイルスのHおよびF蛋白、SARSウイルスのS蛋白の発現ベクターを構築し、その発現を確認した。また、SARSウイルスについては、S糖蛋白のウイルス侵入のための機能を解析するために水疱性口内炎ウイルスシュードタイプの系を完成させ、SARSの受容体ACE2依存的に感染することを確認した。 2、Triton X-100への溶解性の解析から、麻疹ウイルスH蛋白、SARSウイルスS蛋白のそれぞれが、ラフトへの親和性があることを示唆する結果を得た。一方、麻疹ウイルスのF蛋白は、これまでに述べられている生化学的手法では、ラフト分画からは得ることができなかった。 3、麻疹ウイルスのF蛋白の膜融合活性や脂質への親和性の獲得における、膜貫通領域のアミノ酸構造、およびパルミチン酸修飾の重要性を検討した。その結果、膜貫通領域の492-497番目領域のアミノ酸構造、および膜貫通領域内のパルミチン酸修飾が、膜融合活性に重要であることが示された。それら変異F蛋白をコードする麻疹ウイルスを下記4の方法で作出し、膜融合能の低下が、ウイルス複製の低下につながることを明らかにした。 4、麻疹ウイルスの受容体SLAMを発現するCHO細胞と、T7ポリメラーゼを発現するワクシニアウイルスとを応用することにより、モノネガウイルスのリバースジェネティクス系としては、世界的にも最も効率の高い系を完成することができた(Takeda et al., Virus Res. in press)。 5、上記4のウイルス組換え技術を応用することにより麻疹ウイルスのF蛋白、M蛋白の発現量が、両遺伝子にある非翻訳領域によって負に制御されていることを明らかにした
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