研究課題
本研究では、感染実験においてこれまでに明らかにされたWSX-1欠損マウスの表現型、すなわち、Th1誘導機能、および炎症性サイトカイン産生抑制機能をさらに解析し、感染におけるWSX-1の役割、Th1タイプの感染抵抗機構の成立機序、およびWSX-1による細胞活性化・炎症性サイトカイン産生抑制機構を明らかにすること、またWSX-1の副受容体を同定し、さらに抗体やリガンドを用いてWSX-1シグナルを制御することにより感染症に対する新規の治療・予防法を得ることを目標とする。WSX-1欠損マウスにおいては、炎症性サイトカインの過剰産生のために、抗原感作性アレルギー性喘息モデルにおいて症状の増悪を認め、また結核菌感染実験においては、サイトカイン過剰産生のために菌数は減少するものの個体は炎症により死亡することが明らかになった。一方、Trichuris muris感染では、Th1反応の減弱により排虫が亢進し、欠損マウスにおいて感染抵抗性になることが明らかとなった。このWSX-1の二面的な作用に関し、下流のシグナル伝達経路の解析、および副受容体の同定を行い、さらにナイーブT細胞と活性化T細胞において、リガンド刺激後のSTAT分子の活性化が異なっている事を見出している。また、これらの知見に基づいて、個体内でIL-27シグナルを制御する目的で、トランスジェニックマウス、発現プラスミド、リコンビナントリガンド、および中和抗体の作成を行っている。WSX-1トランスジェニックマウスにおける予備的検討では、WSX-1受容体下流におけるSTAT分子の活性化のアンバランスによりリンパ球の過剰な活性化が生じることが確認されている。
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