研究概要 |
熱帯感染症であるデング熱の重症化メカニズムを解明するために、限られた地域の同一民族の患者を対象として厳密な臨床基準に基づいて重症化群および対照群を選別し相関解析により重症化群に特徴的な遺伝子を同定することを目的として本研究を行った。対象としたのは、ホーチミン市第2小児病院およびビンロン県予防医学センター小児病院に受診あるいは入院した小児デング熱・デング出血熱患者でKinh族を対象として相関解析を行った。この結果、両機関でHLA-A24の頻度がコントロール群と比較してデング出血熱群で有意に増加していた。(ホーチミン市第2小児病院;DSS p=0.0007 OR=2.25 95%Cl 1.41-3.62,DSS+DHF(p=0.0004 OR=2.13 95%Cl 1.37-3.25)(ビンロン県予防医学センター小児病院;DSS p=0.0405 OR=1.19,95%Cl 0.73-1.94,DSS+DHF p=0.0418,OR=1.63,95%Cl 1.02-2.63)また、HLA-DRB1^*0901の頻度は両機関でコントロール群と比較してデング出血熱群で有意に減少していた(ホーチミン市第2小児病院:DSS p<0.002,OR=0.47 95%Cl 0.29-0.76、DHF+DSS群p<0.001,OR=0.47 95%Cl 0.30-0.74,ビンロン県予防医学センター小児病院;DSS p<0.007,OR=0.52 95%Cl 0.33-0.85,DHF+DSS群p<0.007,OR=0.58 95%Cl 0.39-0.87)。これらの結果から、HLA-A24はデング出血熱の発症に対して感受性を、またDRB1^*0901は抵抗性を示す事が示唆された。 この結果を再確認するために、2004-2005年に再度ビンロン県予防医学センター小児病院でサンプルの収集を継続して行い、DF(100名)、DHF(55名)、DSS(89名)を収集し、HLAタイピングを行い、相関解析を行ったところ、前年度と同様の結果を得ることができた。別個の患者対照比較を2回繰り返し、さらに翌年度のサンプルで絞りこむことにより、確度の高い関連遺伝子探索が可能と考えられる。
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