研究概要 |
血管内皮細胞由来のマルチリガンドなスカベンジャー受容体FEEL-1,FEEL-2の細菌感染への寄与をin vitroで検討した。懸案であったマウスFEEL-1に対するモノクローナル抗体を樹立した。この抗体を用いてマウスでの組織分布を詳細に検討した。またこの抗体を用いて抗原として用いるマウスFEEL-1の精製が可能となり受容体活性のブロッキング活性を持つモノクローナル抗体の樹立のための抗原の精製を行った。ラットに免疫を行いモノクローナル抗体の樹立を行っている。 マウスFEEL-1は血管内皮細胞だけでなく末梢白血球、特に単球にも発現しており、広範な組織に発現が見られる。またマウスFEEL-2は多くの毒素産生細菌による感染症の感染伝播経路であるリンパ系組織、脾臓やリンパ節のような免疫担当臓器に発現している。初代培養細胞を用いて、血管内皮細胞、特に肝臓の類洞血管内皮細胞やKupffer細胞でのマウスFEEL-1,FEEL-2の発現を明らかにした。類洞血管内皮細胞やKupffer細胞は細菌感染と密接に関係することが知られている。これらの結果を踏まえて、グラム陰性、陽性細菌の感染と血管内皮細胞に発現しているFEEL-1,FEEL-2との関わりを検討した。ファイバー改変型アデノウイルスベクターを用いたshRNAの発現によるRNAiにより機能解析を行った。その結果、FEEL-1,FEEL-2は類洞血管内皮細胞やKupffer細胞での細菌の結合に寄与することが初めて明らかになった。FEEL-1,FEEL-2のノックアウトマウスの作製と同時にFEEL-1,FEEL-2に対するshRNAの一過性のアデノウイルスベクターによる発現によるFEEL-1,FEEL-2のノックダウンやshRNAを恒常的に発現するトランスジェニックマウスの作製を行うことによりマウス個体でのFEEL-1,FEEL-2と細菌感染との関連を明らかにしたい。
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