研究課題/領域番号 |
16017317
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研究機関 | (財)東京都医学研究機構 |
研究代表者 |
小原 道法 財団法人東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 副参事研究員 (10250218)
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研究分担者 |
習田 昌裕 財団法人東京都医学研究機構, 研究員 (10356256)
米川 博通 財団法人東京都医学研究機構, 参事研究員 (30142110)
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キーワード | 遺伝子 / ウイルス / 感染症 / 癌 / C型肝炎 |
研究概要 |
これまでは持続感染が成立した後のHCVに対する獲得免疫の解析やHCV蛋白のインターフェロン(IFN)のシグナル伝達に及ぼす影響が主として解析されてきた。一方感染直後に応答する自然免疫とHCVとの関係はほとんど解析されてこなかった。今回我々は持続感染機構を解明する目的でHCVが初期ウイルス応答に与える影響について検討した。 HCV全長、構造蛋白、非構造蛋白遺伝子をHepG2細胞に発現した。これらの細胞系を用いてNDV感染、polyIC刺激に対するIRF-3の二量体化、核移行、IFN-βの誘導に対する影響をHCV発現前後で検討した。また、HCVの責任蛋白質を同定するためにHCVの各構成蛋白発現プラスミドを導入して同様の検討を行った。さらに、コア蛋白には3つの塩基性領域が存在し、それぞれを欠損した3種のコア蛋白発現プラスミドを作成導入し、IRF-3の二量体化とIFN-βの誘導への影響を検討した。HCV全長および構造蛋白を発現させると、NDV感染により誘導されるIRF-3の二量体化が阻害され、IFN-βのmRNAの誘導も抑制された。一方非構造蛋白を発現させてもNDVによるIRF-3の二量体化にもIFN-βのmRNAの誘導にも影響を与えなかった。また、core dellの場合もIRF-3の二量体化が抑制されなかった。C型肝炎ウイルスコア蛋白の塩基性領域1がIRF-3のリン酸化と二量体化を抑制する事によりIFN-βのmRNAの産生を抑えて、初期抗ウイルス応答を阻害することにより持続感染する可能性が示され、この抑制機序について解析を進めている。
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