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2005 年度 実績報告書

江戸時代に制作された木骨に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 16018213
研究機関広島大学

研究代表者

片岡 勝子  広島大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 教授 (30034002)

研究分担者 洲崎 悦子  広島大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 講師 (10274052)
安嶋 紀昭  広島大学, 大学院文学研究科, 教授 (40175865)
馬場 悠男  国立科学博物館, 人類研究部, 部長 (90049221)
キーワード江戸時代 / 木製人体骨格模型 / 木骨 / 解剖学 / 医史学
研究概要

江戸時代に医学教育研究のために10体余の木製人体骨格模型(木骨)が制作された。現存するのは星野木骨(身幹儀,1792年制作),各務木骨(1810年頃),奥田木骨2体(1820年頃),及び各務小木骨である。私たちは科研費により前4者と関連事項について調査研究した。真骨は全て刑死人のものであり,全ての木骨で舌骨が欠損している。
星野木骨は医師,星野良悦が工人,原田孝次に制作させた等身大の成人男性骨格模型で,全ての模骨が揃っている。各骨は原則として別々に作られ,〓と〓孔で結合できる。骨は薄い茶色に,軟骨は白く塗られている。頭蓋冠は切っていないが,X線撮影及び内視鏡観察により,頭蓋内の構造も作られ,ほとんどが正確に頭蓋内外を連絡していた。
各務木骨は医師,各務文献が田中某に作らせた等身大の成人男性骨格であるが,かなりの骨が欠損している。各骨は〓と〓孔で連結する。頭蓋は木片を繋ぎ合わせて作り,表面に和紙を張って薄茶色に彩色している。頭蓋冠は斜めに切られ,頭蓋内構造を観察できる。
奥田木骨2体は同じ骨をモデルとし,奥田万里が細工師・池内某(またはその工房)に彫らせた等身大の成人女性骨格である。桧材を精巧に彫って形作り,一部の軟骨のみを白または褐色に彩色している。頭蓋は頭蓋冠を水平断し,内部構造が見える。奥田木骨は椅座位で展示できるように専用の台座や支柱があり,胸郭や骨盤は一体化し,組み立ての装具に工夫が見られる。
各部の精粗については,それぞれの木骨で長短があるが,当時の日本にあった解剖学書の図に比べて極めて正確である。木骨は人骨を座右において観察できなかった江戸時代の医師が作らせた我国特有の医学資料で,正確・精巧に作られており,当時の医師の探究心,工人の観察眼の確かさ,技術の高さを伝える貴重な資料である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2006 2005

すべて 雑誌論文 (3件)

  • [雑誌論文] 江戸時代に制作された木骨,特に星野木骨について2006

    • 著者名/発表者名
      片岡 勝子
    • 雑誌名

      解剖学雑誌 81・1

      ページ: 7-12

  • [雑誌論文] 江戸時代の日本で作られた奥田木骨の形態と制作状況2006

    • 著者名/発表者名
      馬場 悠男
    • 雑誌名

      解剖学雑誌 81・1

      ページ: 13-18

  • [雑誌論文] Promotion of European medicine and Japanese craftsmanship seen in Okuda wooden human skeleton made during Edo era, Japan2005

    • 著者名/発表者名
      Baba, Hisao
    • 雑誌名

      Bull.Natn.Sci.Mus., Tokyo, Ser.D 31

      ページ: 1-9

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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