当該研究の目的・計画にもとづき、平成17年度においては平成16年度に引き続き、次の調査研究および古書・古文書の修理保全作業を行った。 (1)曲直瀬養安院文書に関しては、平成17年4月12日にさらに複数の新出資料があったので、整理・修復作業を再開・継続した。また全体の資料について写真撮影を行い、コンピューターにて画像整理をした。さらに文書の解読・翻字作業を進め、目録を完成した。 (2)矢数温知堂文庫(矢数道明旧蔵書)の古医書目録を完成した。書画については図録を作成した。 (3)北里研究所東洋医学総合研究所図書室(北里大学白金図書館所轄)の古医書目録を完成した。 (4)北里研究所東洋医学総合研究所医史学研究部保管の一枚物(台貼)資料(修琴堂・多紀・安西・医史研・小曽戸)の目録を完成した。 (5)江戸蔵書医家書目資料、すなわち『経籍訪古志』『日本訪書志』『聿修堂蔵書目』『存誠薬室本邦医書目』『宝素堂蔵医籍目録』『酌源堂蔵書目録』『渋江書目抄』『森氏開万冊府蔵書目録』『懐仙楼書目』『崇蘭館医書目』『半井書目』『錦小路(丹家)医書目』、さらに『医籍考』『宋以前医籍考』をすべて文字データ化してコンピューターに入力、処理し、総合索引を作り、他資料との照合を容易ならしむべくした。 (6)『万安方』『福田方』の引用書名索引をコンピューター入力し、もって江戸時代医学・本草学の歴史的背景を解明する一資料とした。 (7)北里研究所北里柴三郎記念室に保存される古写真(ガラス乾板、564枚)をすべてコンピュータに画像データ化した。 (8)大塚修琴堂文庫、石原保秀文庫、岡田家文書、合田文庫のうち、修理を必要とする虫損(汚損・破損)本をおよそ貴重度の高いと思われる順に抽出し、順次、裏打作業、整本作業を進めた。本年度で行いえた量は、約200冊、6000葉に達した。 以上の成果は、平成15・16年度に引き続き、『江戸時代医学・本草学資料の整理と研究II』として平成17年度末に大部の報告書を刊行する予定である。
|