研究課題/領域番号 |
16018232
|
研究機関 | 富山市科学文化センター |
研究代表者 |
渡辺 誠 富山市科学文化センター, 学芸部, 主幹学芸員 (30373484)
|
研究分担者 |
市瀬 和義 富山大学, 教育学部, 教授 (20242472)
布村 克志 富山市科学文化センター, 学芸部, 専門学芸員 (50373486)
|
キーワード | 時刻制度 / 測量 / 磁性 / 江戸時代 / 加賀藩 / 科学史 |
研究概要 |
1 時刻制度の改正と弧三角 当時の時刻の計算方法は弧三角を使用し、「暦象考成」をもとにしていることを検証した。弧三角の用語、清蒙気差(大気差)の数値から麻田派の知識を以て西村太沖が計算したと結論付けた。一方、河野久太郎、石黒信由も弧三角を研究し、時刻制度の改正が加賀藩の弧三角の研究に影響を与えたことが考えられる。 2 金沢測量 遠藤高環が監督した金沢測量では測量の方法及び図の作製に、三角関数を広く応用したことがわかった。特に図法に関しては、全ての測量点をXY座標化し、「測量図籍」(石川県立図書館蔵)にそのXY座標化されたデータが載せられていることを解明した。測量器具に関しては、使用された象限儀と方位盤の0点が正確かどうかを検証する作業が行われていたことを解明した。 また、「測量図籍」の5000ケ所あまりにすべての測量地点のデータを補正算出し、Cadソフトで当時の道のりを復元した。それを現在の金沢の地図(国土地理院)と比較したところ、現存する多くの道でその道のりがほぼ完全に一致し(誤差4m以内)、日本の中でもトップレベルの測量が行われていたことを解明した。また、新たに金沢測量に関連する遠藤グループのメンバーの著書を見出した。 3 磁針の偏角と成分分析 文政7年、測量に使用された磁針は1.75度西偏しているという測定を行っている。ここでは、その測定方法を明らかにした。また、実際に偏角はどの程度であったか知るために、2で作成した地図が現在の地図に対して、どの程度傾いているかを検証し、1.5〜1.6度西偏という結果を得た。 当時の磁針の成分分析を行うための準備として、個人蔵の磁針の蛍光X線分析を行った。磁針が細く、精度が高くはなかったが、ほとんど鉄である結果を得た。
|