16年度はメンバーおよび研究協力者全員の参加する研究会を3回おこない、中国の中世集落の現状を把握するために中国調査を実施した。 1 研究会は中国についての発表とその他のアジア地域の発表をなるべく組み合わせるようにし、まず、6月と9月の二度開催して、課題に取り組む際の方向性をさぐった。その上で、中国の住居・集落・都市について典型的な事例を抽出し、10月にメンバー全員で実地調査をおこなった。その後、現地調査報告を含めた第三回研究会を12月に開催した。この間、担当者は中国の住居と集落にかんする資料のまとめをしながら、住居・集落に関する基礎文献を蒐集して資料集の作成にそなえた。研究会には研究分担者・研究協力者が参加するだけでなく、第三回研究会ではメンバー以外の研究者の発表がおこなわれ、また多数の学生の参加があった。 2 中国では、建築に限らず、すべてが天子を頂点として、諸侯や王族、士大夫そして庶民へと至るピラミッド型の構造をとる。宮殿の構成も四合院という建築形式をとることからもわかるように、庶民の住宅のみならず、士大夫や天子の住居をも考えて、はじめて住居をとらえることができる。現地調査には、古い街並みが残る平遙古城(世界遺産)や党家村、丁村、さらに西安近郊の宮殿遺跡を選んで視察・調査した。 3 中国にかんして、基礎的な文献資料には以下の三種類が予想される。 (1)調査報告書・論文・単行本についての書誌データ (2)絵画資料・出土物(明器など。報告書に付けられた図面を含む)の画像資料 (3)漢文史料からの関連箇所の抽出 本年度は1について、基本的かつ重要なものに限定して資料集の作成をおこなった。
|