研究概要 |
本年度は,(1)遺物データの登録,(2)階層性を考慮した遺物データ管理に関する検討,(3)考古学データの統一的・統合的な操作のためのデータ管理に関する検討,(4)遺物データベースシステムの構築を行った. (1)では,越前一乗谷朝倉氏遺跡の全約160万点の遺物中,約22万5千点の遺物・データの電子化を終了することができた. (2)では,遺跡からの遺物の出土分布を表示する多様なシステムを対象とし,その多様性を遺跡と遺物間に存在する階層性を考慮することによって克服し,統一的に扱う枠組みについて考察した.まず,遺跡と遺物の基本的な関連から始めて,地域の中での遺跡も含め,これらの間の階層性について考察した.次に,表示における要素として,全体,集約単位,ならびに,対象という3つの要素を導入し,これらの要素と遺跡に関する要素を対応付けることにより多様な遺物出土分布表示システムを統一的に扱うことができることを示した. (3)では,いくつかの考古学データの例を用いて,XMLスキーマを用いたデータ型の定義を試みた.ここでは,列挙型の情報,時代区分,分類を例にして,XMLスキーマによるデータ型定義を試みた.また,利点と課題について考察した. (4)では,プログラミング言語Javaとフリーのデータベース管理システムPostgreSQLを用いて,遺物データベースシステムのプロトタイプを試作している.現在は,地図の登録,区画の設定・登録,遺物データの登録,ならびに,遺物データの検索のプロトタイプを試作してきている.
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